活動紹介インタビュー
外国人との共生が実現すれば、研究もまちづくりも進化する
広島大学 理事・副学長(グローバル化担当) 金子 慎治 氏に聞く
TGOの4つの活動
3. 外国人との共生モデルタウンの形成とグローバル教育産業の誘致
広島大学を中心としたスマートシティ構想の推進による科学技術を活用した次世代の学園都市の形成
●外国人との混住モデル地区の開発の提案
●インターナショナルスクールの誘致
●語学学校、予備校、各種職業訓練学校などの誘致
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世界中の研究者やイノベーターが魅力を感じる都市に
日本の地方都市の多くは経済的疲弊と高齢化により、国への財政依存度が高まっています。Town & Gown Officeが活動内容のひとつに外国人と共生するまちづくりを掲げているのは、東広島市と広島大学が協力すれば、社会的な課題を解決できる可能性が十分にあるからです。
たとえば、東広島市には3つの大学の学生が約1万7000人住んでいますが、卒業後も東広島市に残って暮らす人はわずか3%程度。さらに、国際会議や研究会で東広島市に短期滞在する外国人は毎年約3000人いますが、その後東広島市に定住したり、再び滞在する人はほとんどいません。みんなまちをある一定期間『通過する』だけなのです。この『通過する』人たちの中から毎年たった5%、いや3%だけでも東広島市に定住する人が増えるだけで、地域が抱える多くの社会的な課題が解決に向かいます。
若い学生や外国人研究者に『住みたい』と思ってもらうには、まちに受け皿と魅力がなければなりません。それこそがTown & Gown Officeが取り組むべき優先課題のひとつだと考えます。
ASUの誘致で外国人を誘引し、ノウハウを吸収する
まず受け皿のひとつとして、アメリカのアリゾナ州立大学(ASU)を誘致しました。アリゾナ州立大学は、全米で最もイノバティブな大学として6年連続で選出されている大学です。今回は、サンダーバード・グローバル・マネジメントというマネジメントスクールを開設し、アメリカ型の学部教育や授業の相乗り、学生の交流などを行いますので、東広島市の外国人滞在者が増え、より多くの外国人に東広島市に住んでもらうこともできます。 また、私たちがめざす行政の重要な意思決定に大学の知見を生かすためのノウハウの吸収も期待しています。 将来的には、地域住民から高いニーズがあるインターナショナルスクールの誘致なども検討していきます。
(アリゾナ州立大学 © Arizona State University)
平和な共生社会こそ、最高のスマートシティ
また、まちに魅力を創出するためにスマートシティ構想の実現をめざします。 研究機関や大学が新しい社会を提案するためのフィールドとして、東広島市を日本最先端のスマートシティにすることをめざします。技術的視点からは、まち全体が自動運転やデータ活用、AIといった最先端技術のテストフィールドに見えるだけかもしれませんが、それ以上に私たちが考える最高のスマートシティは、多様な外国人と共生する平和でイノバティブなまちだと思うので、その実現をゴールとしてめざしたいと考えています。
外国人と共生しながら、多様な人たちと関わりを持てるまちづくりを進めれば、日本の学生や研究者も呼応し、東広島市が抱える地域課題の解決に有益なイノベーションや社会実装の機会が生まれてくると期待しています。
※ パンフレット掲載内容の一部を掲載時点(2021年10月)の情報に修正しています。