コモンプロジェクト :「のん太の家庭科室」

プロジェクト紹介

日本のものづくり体験を通して、家庭や地域におけるコミュニケーションの場を提供したい

「たくさん色を使ったね」「5年生から学校でもやるんだよ」アドバイスをしてくれる大学生との会話のやりとりが続きながら、背中に縫い目のない子どもの着物に縫い付ける「背守り」刺しゅうに、子どもたちが集中して針を持つ手を動かします。「籠目(かごめ)」「輪鼓(りゅうご)」「麻の葉(あさのは)」など、様々な図案には、それぞれに子どもたちの健やかな成長を願う思いが込められています。昔の親の思いをアレンジした文化継承を通じて、現代の子育て支援につなげる意図があります。

2021年10月16日、東広島市福富町の「道の駅 湖畔の里 福富」から始まった「のん太の家庭科室」は、東広島市と広島大学教育学部 第四類 人間生活系コースが連携して、豊かな生活をもたらす地域づくりにつながるイベントを行うプロジェクトです。

開催1年目となる本年度は、「糸と針を使ったものづくり」をテーマに、背守り刺しゅうの体験講座が行われます。
企画・運営を担うのは、卒業研究としてプロジェクトに携わる同コースの岩本さんと山竹さん。
岩本さんは、「大学生が東広島市の地域力向上のためのイベントを実施し、地域の活性化につながるイベント要素の示唆を得る」こと、山竹さんは、「ものづくりにおける色選びなどの製作環境が製作活動に与える影響を分析し、意欲的にものづくりに取り組むことのできる方法の示唆を得る」ことが研究目的です。

「針と糸はもとより、包丁とまな板すらないという家庭もあるのが現代社会です。複雑に変化を続ける社会の中で、教育の出発点は家庭であり,その家庭を中心として営まれる身近な生活の在り方について学ぶ教科が家庭科です。リアルな社会との接点を家庭科教員を目指す学生たちに提供するとともに、私たちの企画する体験が家庭や地域における豊かなコミュニケーションの場となることを願っています。」そう語っていただいたのは、人間生活系コースの鈴木教授と村上教授。子どもたちへの指導役として自主的に手伝っていただいた大学生の多さと真剣な表情から、関心の高さが伺えました。

「子どもたちがすごく集中していたのが印象的。ものづくりにはそのような力があることを教えていただいたのが今日の発見です」と感想を語っていただいたのは、親子で講座に参加された保護者の方。

「子育てするなら東広島」を掲げる東広島市にとって、これまでの歴史の中で数多くの教育者を輩出し、全国的にも有数の規模を誇る広島大学の教育資源を、地域の子育て環境の充実に活用していくことは必須の課題です。市民の皆様や、地域での活動に関心のある大学関係者を巻き込みながら、プロジェクトが発展していくことを期待しています。

報告会資料 (指導教員及び学生の皆さんのご厚意により提供いただきました)

 

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