エビデンスを意識する第一歩はビッグデータに親しむことから : 東広島市政策企画部情報戦略統括監 橋本 光太郎 氏に聞く
活動紹介インタビュー
エビデンスを意識する第一歩はビッグデータに親しむことから
東広島市政策企画部情報戦略統括監 橋本 光太郎 氏に聞く
TGOの4つの活動
2. エビデンスに基づく政策・行政
行政データの作成と公表に加え、市のビックデータを活用したEBPMの実現
●行政データの作成と公表、分析を推進し、課題の『見える化』や施策立案に活用
●国際的な発信力の強化、アリゾナ州立大学やテンピ市などとの国際連携の推進
●アリゾナ州立大学をモデルとした東広島版Decision Theaterの導入と活用
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研究活用を想定し、市の公共データを集約
東広島市が運営するWebサイト『東広島市オープンデータポータルサイト』は、2016年12月に公開されました。Webサイト内には、東広島市などが保有する公共データがオープンデータとして公開されています。
市がオープンデータWebサイトを公開したのは、市内に広島大学をはじめとする学術研究機関が多く、データ公開が研究の一助になると考えたからです。また、地元のオープンデータを活用して研究を進めれば、地域の社会課題の解決の一助となる可能性もあると期待しています。
このWebサイトの特徴のひとつは、広報コンテンツを充実させている点です。毎月発行している広報誌やPR用素材写真なども、Webサイトから自由にダウンロードできます。また、当番医やごみカレンダーといったホームページコンテンツやアプリとの連携も特徴です。
(『東広島市オープンデータポータルサイト』トップ : 画像をクリックするとサイトを開きます)
市民もビックデータに触れるきっかけづくり
今後は、普段オープンデータやビッグデータに触れる機会が少ないという方にもアクセスしていただけるように映像コンテンツも加えたいと考えています。加えて、人口などのデータに関してはCSV形式だけではなくダッシュボード形式でもご覧いただけるようにしていきます。また、データを提供するだけの一方通行ではなく、インタラクティブな仕組みの導入を模索したり、多言語化も推進していきます。
また、市のスマートフォンアプリも活用し、市が抱えるビッグデータを市民の皆さんの身近なところで利用していただける体制の構築も進めていきます。
複数のデータを組み合わせて新たな仮説検証を期待
東広島市に限らず行政のデータは、国の国勢調査やさまざまな白書に登場するようなトラディショナルデータと呼ばれる伝統的統計データがほとんどです。非常に信頼性が高い反面、調査間隔が長いといった課題もあり、例えば、今のコロナ禍の変化を読み取ろうとしてもなかなか難しいものがあります。これらのデータは、Town & Gown Officeが取組を推進するEBPMなどに活用されており、仮説を客観的に説明する素材としては適しています。
一方で、民間企業の中には、ニュース記事やPOSデータといったトレンドや社会情勢を反映したトラディショナルデータとは正反対の性格を持つオルタナティブデータと呼ばれるデータを収集して公開しているケースがあります。データの性格は正反対ですが、両者は並立できると考えています。研究者の皆さんが両者をうまく組み合わせて、これまでにない仮説の検証や、社会課題の解決につながるような研究結果が生まれることを期待しています。