東広島市 髙垣 廣德 市長インタビュー

Interview

広島大学×東広島市の2トップに学生が聞く

東広島市 髙垣 廣德 市長インタビュー

このインタビューについて
Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス)準備室(TGO)は、この度当室の活動を発信し理解を深めていただくことを目的とし、パンフレットを発行いたしました。 パンフレットに掲載したインタビューを、当サイトにおいても紹介します。ぜひお読みください。

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Town & Gown構想が市と大学のハブとなり、新しい東広島のまちづくりを実現していく

Town & Gown Officeには、大学と市が一体となって社会的な課題の解決に取り組む上で不可欠なハブの役割が期待されています。Town & Gown構想への期待などについて、広島大学の大学院理学研究科2年の倉持慶太郎さんと法学部法学科4年の苅山大晴さんが、東広島市の髙垣廣德市長(以下:市長)に話をうかがいました。

関連記事:Town & Gown構想やこれからのまちづくりについて東広島市長にインタビューを行いました (2021年3月12日掲載)

(東広島市 髙垣廣德市長)

大学の学術知見や研究を活かし、新たなまちづくりに取り組む

なぜ、東広島市と広島大学は、一緒にTown & Gown構想に取り組むのですか。

市長まず大前提として、東広島市は広島大学の統合移転などを機に発展してきたという背景があるので、互いに協力しあうことで一緒に成長できることを知る間柄なんですよ。実際に、今も人口約196,000人のうち約1割が学生ですからね。

 

そうなんですね。Town & Gown構想による協力で、どんな課題が解決できますか。

市長Town & Gown構想は、広島大学と東広島市が一体となってまちづくりを推進する構想で、ビジョンを共有しないと展開できない取組です。大学は専門的な知見や研究を、市はデータや協力体制を提供することで、大学発のイノベーションに基づく「仕事づくり」や「周辺地域における生活の質の向上」など、これまでの行政手法では困難であった地域課題が解決していくことを期待しています。

 

国際化も進みそうですね。

市長アリゾナ州立大の誘致や広島大学の新たな国際交流拠点施設の整備により、世界中から優秀な人材が集まるでしょう。ですから市としても国際化への準備だけじゃなく、 AIやICTなどの最新技術を搭載したスマートシティやSociety5.0、さらにはSDGsやダイバーシティも意識した、新たなまちづくりに取り組みます。

 

市と大学が連携してまちづくりに取り組む意義は何ですか。

市長これまでも市と大学は連携してきましたが、日常的に一体となって課題を解決する関係ではなかったのも事実です。日常的に話をすることで腹を割って話せる関係を築き、一緒に課題を決める段階から話し合おうというのが、 Town & Gownの活動内容のひとつ『コモンプロジェクト』です。

 

大学にとっても、研究テーマが身近な地域課題の解決につながるのは良いですね。

市長今後は、人的資産や世界有数の研究資産で地域課題の解決に貢献することが、大学の使命のひとつになる時代がくると思いますよ。まさに『グローカル』な思考ですよね。

(学生によるインタビューの様子)

持続可能で幸せなまちづくりを最新テクノロジーやSDGsで実現

市長がTown & Gown構想に期待することは何ですか。

市長若い学生が持つ企画力や発想力、感性が、地域課題の解決に貢献することです。学生の皆さんの参画がTown & Gown構想成功の大きな礎になるでしょうし、それが東広島市の良さを体感することにつながる。そうすれば市内への就職率も変わるんじゃない?(笑)

確かに市外に就職する人が多いですよね。

市長今は市内にある大学の卒業生のうち、3%しか残ってくれない。ただ、アフターコロナの時代は、通信環境さえ整っていれば、東広島市のような住みやすい地方都市で東京の仕事をするのが普通になりますよ。だから就職は東京や大阪でも、いつか帰ってきてくれたら嬉しいし、そう考えてもらえるよう行政も進化するつもりです。最近は政策にもエビデンスという言葉が使われますが、大学の先生たちに協力していただきながら仮説をもって施策を作り、結果に対して検証するEBPMの考え方の導入も検討しています。

スマートシティの考え方もまちづくりに関わるのでしょうか。

市長スマートシティと聞くと、何か先端技術が実装されたまちのイメージが先行しがちですよね。ただ、改めてスマートシティをめざす理由を考えると、持続可能な社会で市民の皆さんが豊かさや幸せを感じる『Well-being(幸福)なまち』にするためなんです。

 

まちや人々にも変化が起こりそうですね。

市長日常の行政サービスやくらしは、今より便利になりますよ。例えば、行政手続きのデジタル化をはじめ、教育もICT化が進むでしょうし、医療や健康もより個人にフォーカスしたサービスの提供が行われ、病気や介護の予防につながるでしょう。

 

地域の人々にもメリットが大きそうです。SDGsやSociety5.0はどう関わりますか。

市長SDGsは17のゴールの達成に向けた取組が世界中で行われていて、もはや世界共通の価値観です。市でもSDGsの理念が根底に流れる総合計画を策定していますし、『SDGs未来都市計画』では2030年のあるべき姿を設定しています。きっとこの頃にはSociety5.0やSDGsが必須のキーワードになると予測して、今からTown & Gown構想の実現にもしっかり予算を充てています。

(市長室にて)

学生の皆さんの企画力や発想力、行動力をまちづくりに活かしたい

最後に、広島大学の学生を含む東広島市在住の若者に期待することをお教えください。

市長ぜひ、東広島市に住み続けていただきたいと考えています。そのために、このまちに魅力を感じていただくとともに、無限の可能性を活かせる環境があるまちにしなきゃならない。そこで、若い感性を持つ学生の皆さんが地域課題の解決に向けて働く機会を提供して対価を支払い、地域課題を解決する『学生協働支援隊』のような仕組みを構築していきます。

 

確かに地域と関わる機会は、これまでそれほどなかったです。

市長例えば、高齢者の皆さんにスマートフォンの使い方を教えたり、一緒に時間を過ごしながら積極的に地域に入り込んでもらう。いろいろな人に出会えて地域の豊かさも感じてもらえますし、世代を超えた付き合いは必ず学生さんたちの財産になりますよ。

 

確かに今は、学生同士で完結している感があります。

市長東広島市のまちや人と関わる中で、自らを成長させながら若い感性を活かして地域に貢献していただきたいですし、市もその機会を提供していくつもりです。将来は東広島市を『第2のふるさと』として、ずっと関係を持ち続けてくれることを願っています。

※髙垣 廣德 市長の「廣」の漢字は「まだれに黄」が正しい漢字になりますが、当サイトで使用しているフォントでは表示できないため、テキストでは「廣」の漢字を使用しています。

学長インタビューは
こちら

 

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