学術研究と社会課題の解決をマッチさせ、官学連携を推進するコモンプロジェクト : 東広島市政策企画部政策推進監 栗栖 真一 氏に聞く

活動紹介インタビュー

学術研究と社会課題の解決をマッチさせ、官学連携を推進するコモンプロジェクト

東広島市政策企画部政策推進監 栗栖 真一 氏に聞く

TGOの4つの活動

1. 共同事業の日常業務化

東広島市役所内の14の業務部署が抱える課題と各教員の科研費等研究テーマと講義内容のマッチング

●市役所の業務部署と各教員の研究テーマや講義内容をマッチング (コモンプロジェクト)
・大学側は講義の中で現場訪問を促進し、課題の共有や地域の課題解決への学生の参加を推進
・市役所側は実務と連携させて研究計画の作成を支援し、研究成果を地域の課題解決に活用

このインタビューについて
Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス)準備室(TGO)は、この度当室の活動を発信し理解を深めていただくことを目的とし、パンフレットを発行いたしました。 パンフレットに掲載したインタビューを、当サイトにおいても紹介します。ぜひお読みください。

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コモンプロジェクトはダジャレ?!

『コモンプロジェクト』という名前には、広島大学と東広島市が『共通(COMMON)』の課題に取り組むことと、お互いが先生役の『顧問(こもん)』となって教えあいながら社会課題の解決をめざすという、ふたつの意味が込められています。

これまでも市と大学が連携して社会課題の解決を図ろうとしてきましたが、なかなか大きな成果が生まれませんでした。その要因として気づいたのが『ミスマッチ』です。大学は学術研究を行い、市は社会課題の解決に取り組んでいますが、市が解決したいと考える社会課題が、大学の研究テーマに合わない場合があったり、逆に大学が連携して研究したいテーマが、市の社会課題の解決に結びつかないケースがありました。
このミスマッチがあることによってお互いが負担を感じ、成果に結びつきづらかったのではないか、と。

そこで連携する前に、大学の研究テーマと市の社会課題をマッチングさせる場を設けることにしました。コモンプロジェクトは、マッチングを通じて日常的に話し合う中で、双方がメリットを感じる学術研究と社会課題の解決を同時進行するテーマの選定をめざしています。

 

社会課題と学術研究を正しくマッチングするのが役割

初めてのコモンプロジェクトの募集に対して、市側からは28部局が関連する16の課題が集まり、大学側からは18名の先生が問い合わせてくださいました。現在、大学側では研究計画の策定を、市側では施策の形成過程の中で課題解決につなげるための取り組み準備を一つひとつ進めています。

大切なことは、ミスマッチ覚悟で拙速に成果を追い求めるのではなく、社会課題の解決と学術研究価値の両方を満たすかどうかを見極め、正しいマッチングを行うこと。それがコモンプロジェクトのアウトプットであり、最も大切な部分です。

目標は、2021年度中にコモンプロジェクト第1号認定案件を誕生させること。迅速かつていねいに協議や認定を進めています。

 

(東広島市役所)

 

大学と行政がお互いを知り、ともに未来のまちを創る

Town & Gown Officeがハブとなり、行政と大学が一体で活動することに対する期待は計り知れません。例えば、大学の学術研究を生かした社会課題の解決も大切ですが、お互いに知らないことが多い現実を認識し、それらを一つひとつ知り合うこともまた、同じぐらい大切で価値のあることだと思います。

また、コモンプロジェクトを通じて研究が進み、成果が出始めれば、必ずSDGsやSociety5.0を体現する社会につながると確信しています。さらに、金子先生は「大学と行政がお互いを理解して協力すれば、身近な社会課題の解決の中からノーベル賞に値する研究成果が生まれるケースもある」とおっしゃっていました。

金子先生の言葉を借りるなら、東広島市を『世界とつながるまち』を飛び越えて『世界がここでつながるまち』にしたい。その取組の第一歩がコモンプロジェクトです。

 

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