広島大学 越智 光夫 学長インタビュー

Interview

広島大学×東広島市の2トップに学生が聞く

広島大学 越智 光夫 学長インタビュー

このインタビューについて
Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス)準備室(TGO)は、この度当室の活動を発信し理解を深めていただくことを目的とし、パンフレットを発行いたしました。 パンフレットに掲載したインタビューを、当サイトにおいても紹介します。ぜひお読みください。

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Town & Gown構想が広島大学を輝かせ、日本の『地方創生』実現モデルとなる

Town & Gown Officeは、2021年秋に広島大学キャンパス内の国際交流拠点施設に設置される予定です。
大学側から見たTown & Gown構想の意義や活動の狙い、学生たちへの期待について、学生の倉持さんと苅山さんが、越智光夫学長(以下:学長)に話をうかがいました。

関連記事:Town & Gown構想の中で広島大学が目指す方向性について学長にインタビューを行いました (2021年3月22日掲載)

(インタビューに応じる 広島大学 越智 光夫 学長)

Town & Gown構想の実現が大学の改革を成功に導く

Town & Gown構想の推進は、大学にとってどんな意義がありますか。

学長広島大学では時代の変化に対応し、グローバルな視点でハイレベルな大学となるためのさまざまな改革に取り組んでいます。今まさに改革の真っ只中ですが、その目玉の一つが広島大学と東広島市が一体となってまちづくりに取り組むTown & Gown構想です。これには大学の改革と市の施策を連携させることで、大学の進化と地域の社会的な課題の解決を同時に推進する狙いもあります。

グローバル視点の改革だから、海外の大学を誘致するんですね。

学長まさにそのとおり。今回誘致するアリゾナ州立大学は、全米で最も革新的な大学に6年連続で選ばれており、この選出には大学の地元・テンピ市との協力体制や相互発展意識が大きな力になったそうです。我々がアリゾナ州立大学を誘致したのは、このあたりの知見も参考にしようと考えてのことなんです。この誘致実現は、東広島市が支える環境を作ってくださっているから。市と大学の関係は非常に良くて、今回も髙垣市長とお互いに協力しましょうという話から始まったものです。

大学の改革や成長には地域との協力が不可欠なんですね。

学長東広島市誕生の経緯も含め、これまでも大学と市は協力関係を築いてきました。その中で今回のTown & Gown構想は、大学の将来を担う運営の柱のひとつになると考えています。同時に、取組を横展開することで『地方創生』のモデルになり、日本全体の活性化にも寄与すると期待しています。

(インタビューの様子)

グローバル化を加速することが研究者や学生、まちにも良い影響

大学がグローバル化を進める狙いをお教えください。

学長社会がグローバル化するのに伴い、実は大学も留学生や研究者の獲得を含めた国際競争が盛んになっているんです。これまで53か国・地域の334もの機関と国際交流協定を締結して、大学改革の一環として強力にグローバル化を推進してきました。これからも大学の評価を高めて競争に勝ち抜くために、グローバル化の推進による教育力や研究力の向上をめざします。

そういう意味では、アリゾナ州立大学の誘致は大きいですね。

学長国立大学で初となる海外大学のキャンパス内誘致は、グローバル化の流れを加速させるでしょう。異なる文化と出会うことで、研究者や学生にも良い影響を与えると期待しています。

まちにはどんな影響がありますか。

学長大学の評価が高まることで、まちの価値も高まると思います。例えば、海外企業からの投資や東広島市が推進する多文化共生社会の実現が促進されるなど、さまざまな面で良い影響が出てくると思います。また、キャンパス内に設置される国際交流拠点施設の中にアリゾナ州立大学は入りますから、アリゾナ州立大学と東広島市の間にもさまざまな連携や交流が起こるはず。それも良い影響を与えるでしょうね。

(学長室にて)

積極的に多様性を受け入れ真の幸福が感じられるまちに

Town & Gown構想にある『多様性のあるまち』は、大学や東広島市の市民にどんな影響を与えますか。

学長社会を一変させるような革新的イノベーションは、多様性の中から生まれてくるという認識から、多様性を受け入れるインクルーシブ(包摂的)なキャンパスの実現に取り組んできました。さらに、社会の変化に左右されない『Well-being(幸福)』を感じられるまちづくりやキャンパスづくりにも取り組んでいきたい。それらを地域の皆さんが感じてくれればベストですね。

外国人留学生や研究者が増えて、まちも変化しますね。

学長Town & Gown Officeの活動内容のひとつに『外国人との共生モデルタウンの形成』がありますが、まちに持続可能な発展をもたらしてくれるでしょう。その結果、地域住民の皆さまにも満足度の高い生活環境を提供できると考えています。さらに、こうした取組を他地域に横展開することで、広島大学と東広島市が日本を活性化するイニシアチブを発揮したいと考えています。

平和を希求し挑戦を続け、未来を担う人材を輩出する

カーボンニュートラルやスマートキャンパスに取り組む理由を教えてください。

学長カーボンニュートラルやSDGs、5Gなどは世界共通のテーマですが、どれも技術革新に加えて社会が変わらないと実現は難しい。例えば、現在、大学内で行っている自動運転の実証実験を未来の人口減少社会の課題を解決する手段だと考えれば、スマートキャンパスが未来の社会をより良くするために不可欠だと理解いただけると思います。

今後、広島大学の学生たちにどんなことを期待されますか。

学長私自身が学長になった時に掲げたスローガンは、「平和を希求し、チャレンジする国際的教養人になってほしい」ということです。広島大学を『100年後にも世界で光り輝く大学』にすることが学長である私の使命だと考えています。学生の皆さんにも、社会の仕組みを変えるような変革を起こし、未来をより良くする人材となれるよう広島大学で学び、世界で活躍されることを期待しています。

 

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