学生インタビュー 第2回 〜 留学生は何しに広大へ ? 〜
学生インタビュー
「広島大学東広島キャンパスでの学び」や「キャンパスのあるまち東広島市での暮らし」について、また「広島大学スマートシティ共創コンソーシアムでの取組」等について、学生たちはどのように考え、どのような印象を持っているのでしょうか。
そこで、TGOの学生スタッフが、広島大学で学ぶ学生に対してインタビューを行いました。
今回も前回(第1回)に引き続き、 “留学生は何しに広大へ?” をテーマに、インドネシア出身の留学生 Basultan HIDAYAT (バスルタン ヒダヤット) さんに、広島大学への留学のきっかけやご自身の研究テーマ、そして、多言語コミュニケーションLINE公式アカウントの「医療情報 症状翻訳」の機能を実際にご使用いただいた感想などを伺いました。ぜひお読みください。
今回インタビューに答えてくださった方:
広島大学 大学院統合生命科学研究科
博士課程後期 1年
Basultan HIDAYAT さん
出身:スマトラ島西海岸ブンクル (インドネシア)
Q. なぜ広島大学に来られたのですか?
A. 2018年、学部生時に短期研究プログラムで日本の岐阜に訪れた影響で、日本で研究をしたいと思うようになり、2021年に広島大学院統合生命科学研究科に入学しました。
インドネシアでの所属大学と広島大学が共同研究を行っていたことで、広島大学への進学を意識するようになりました。
また、学部生時代には生物化学を専攻しており、海洋生物化学の研究興味を持っていました。広島は瀬戸内海に接していることから研究をおこなうのに最適な地であると考え、入学を決意しました。
Basultanさんの出身地、インドネシアスマトラ島西海岸のブンクル
Q. 現在の研究について教えてください。
A. 現在、微生物の活用に関する研究を行っています。近年、重金属の利用は年々急増している一方、自然界における供給源の減少から希少になった重金属もあります。
そのような中、微生物を利用することで、経済的で環境に優しい方法で微生物による金属回収が実現できます。具体的には、生物誘導型のバイオミネラリゼーション(BIMP)という手法を用いることで、微生物が間接的に金属の凝固を誘導し、金属が価値ある物質に戻る可能性があります。
私が取り組む研究では、このような作用を持つ微生物を発見し、そのメカニズムを解明したいと考えています。
Q. 大学院生活はいかがでしょうか?
A. 現在、いくつかの学生団体に属しています。広島大学の留学生をサポートする組織では、他の留学生メンバーと繋がりながら、留学生を取り巻く問題解決に取り組んでいます。
また、在広島インドネシア学生協会に属しており、日頃からインドネシア人同士で交流の機会を持っています。特にイベントの企画をすることが多いです。
リフレッシュのために、東広島でのイベントがあった際には留学生向けかどうかに関わらず積極的に参加するようにしています。
Q. 東広島の気に入っている点やより良くなると感じている点があれば教えてください。
A. 東広島では日本人と留学生の間で差があまりないように感じます。例えばコロナの期間にも留学生へのサポートが大変充実していました。
子どもと一緒に移住した際や子どもが生まれた際には子どものみでなく親も援助を受けられるのも大きな魅力ではないでしょうか。
納税などの手続きに関する情報を得やすいのも助かっています。市役所に手続きに行った際には、英語を話せない市職員の方であっても、翻訳アプリなどを使って積極的にコミュニケーションを取ってもらえました。
一方で、以前に経済対策臨時支援給付金の申請書が家に届いた際には、日本語でのみ書かれており、混乱した留学生が多くいました。
QRコードはありましたが、QRコードで移動したウェブサイトの説明も日本語のみでしたので、英語で併記などをしてもらえるとありがたいです。
また、留学生に限ったことではないですが、田口などでは時々夜に野犬と出くわすことがあるので、道がもう少し明るくなると夜でも安心して通行できると思います。
加えて、東広島はムスリム(イスラム教徒)の学生が多いので留学生向けのイベントが開催される際には近くのプレイルーム(祈祷室)の案内があると初めてでも安心できると思います。
Q. 今後について考えていることはありますか?
A. 日本語を流暢に話すことを目標としており、日々勉強しています。日本語をより正確に話せるようになれば、より多くの情報が得られるようになり、その結果、これまで以上に日本の魅力を知ることができると、期待しています。
Basultanさんには今回、広島大学スマートシティ共創コンソーシアムで開発した多言語コミュニケーションLINE公式アカウントの「医療情報 症状翻訳」の機能を実際に使用していただきました。
「医療情報 症状翻訳」は、項目に沿って、痛い部位・症状の程度・思い当たる原因などを日時とともに記録し、受診時に瞬時に異言語間で翻訳をすることができる機能です。
Q. 「医療情報 症状翻訳」を母語であるインドネシア語で使用してみて、いかがだったでしょうか?
A. まず、病院に行く前に自身の症状を確認できるのは助かる機能だと感じました。私は、以前歯医者に行った際には翻訳アプリを活用してコミュニケーションを取りましたが、この「医療情報 症状翻訳」機能では、記録を蓄積して、それを病院で直接画面を見せて症状を説明できるので大変便利です。
それに加え、多言語をサポートする特徴があり、インドネシア人として、母語でサービスを利用できるのには驚きました。
研究者の中には、海外から東広島に家族を連れて来られている方もいるため、日本語のみでなく、英語を話さない人にとってはより有効な機能かもしれません。広大生のみでなく、東広島市内に海外から来られている方にも、喜ばれるサービスではないかと感じました。
- 聞き手・写真: 広島大学 統合生命科学研究科 青栁 仁士
- インタビュー実施時期: 2024年5月