レポート :「第五次東広島市総合計画シンポジウム 第1弾」に参加しました

学生によるレポート

2025年8月4日(月)に、東広島芸術文化ホールくららにおいて「第五次東広島市総合計画シンポジウム 第1弾」が開催されました。

東広島市の未来をみんなで考える 世界に貢献するイノベーション創造のまち ~次世代学園都市の実現~」をテーマに、基調講演、市内9校の高校生によるプレゼンテーション、パネルディスカッションの3部構成で行われました。
本レポートでは、主に基調講演についてご紹介します。

開催の背景

2025年3月に「第五次東広島市総合計画後期基本計画」が策定されました。
この計画は、「世界に貢献するイノベーション創造のまちに向けた次世代学園都市構想の推進」、「暮らし輝き笑顔あふれる生活価値創造のまちに向けたWell-being(ウェルビーイング)を実感できる地域共生社会の推進」という大きく2つの方向性を定め、国内外から選ばれる都市を創っていこうとするもので、その将来都市像として「未来に挑戦する自然豊かな国際学術研究都市 ~住みたい、働きたい、学びたいまち、東広島~」が掲げられています。

今回のシンポジウムは、特にイノベーション創造に焦点をあて、市民のみなさまに、今後のまちづくりの方向性や計画の意義をご理解いただき、市民協働のまちづくりへとつなげていく一歩となることを目指して開催されたようです。

基調講演について

基調講演に登壇されたのは株式会社野村総合研究所未来創発センター長 研究理事の神尾文彦氏です。
「地方創生・日本再生の鍵・『デジタルローカルハブ』形成に向けて」と題し、自立経済都市圏を持つ地方都市を構築する必要性について語られました。

講演中の神尾氏

神尾氏が提唱する「デジタルローカルハブ」とは、デジタルやデータを活用して、地方にいながら国内外とつながるローカルハブの機能を果たす都市や地域のことを指します。

  • ローカルハブ (Local Hub) :
    地方にありながら国内外とつながる機能(ハブ)を持つ都市のこと。

現在の日本は、人口減少という構造的な課題に直面しているだけでなく、地球温暖化対策として2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするという国際的な約束も抱えています。
こうした中で、人口減少と環境負荷の抑制という二重の課題に対応しながら、GDP(国内総生産)を高めていくという難題に取り組む必要があると指摘されました。

その解決策として神尾氏が提唱するのが、「量から質への政策転換」です。
具体的には、

  • 労働生産性 (=GDP÷人口) :
    1人当たりの経済活動の成果
  • 炭素生産性 (=GDP÷CO2排出量) :
    CO2をどれだけ効率的に使って経済価値を生み出せるか

という2つの指標を高めることが重要だと述べられました。
そして、「日本全体の生産性を上げるためには、地方都市もこの取り組みに積極的に関わる必要がある。なんとか地方都市の生産性をもっと高めたい。」と、地方の役割の重要性を強調されました。

高い生産性を実現している地方都市の事例として、ドイツのエアランゲン市、コーブルク市、山形県鶴岡市が引き合いに出されました。
これら3都市の共通点として、大企業が本社や支社を構えていること、スタートアップ企業が多数設立されていること、高等教育機関が存在することが挙げられます。
なぜこの3つの特徴が、高い生産性の実現につながるのでしょうか?

それは「高度人材の地域循環」が鍵である、と神尾氏は説明します。
教育機関の卒業生や研究者が地域にスタートアップを設立すると、その人材・施設・成果を求めて大企業が参入してきます。教育機関は大企業との協働を通して、より優秀な人材を育成することができ、学生たちは就職先として参入してきた大企業や関連のある地域企業を選んだり、新たなスタートアップを立ち上げたりして、人材が地域に根付きます。
こうした好循環が、神尾氏の提唱するデジタルローカルハブの形成につながるのです。

神尾氏は、東広島市にも「デジタルローカルハブ」として発展する可能性があると語りました。
現時点で、すでに大企業、研究教育機関、地域産業といった基盤が整っていることに加え、今後はスタートアップの創出と、地域産業全体への生産性の波及が重要であると強調されました。

さらに、デジタルローカルハブの実現に向けた本質的な取組として、「デジタルの活用」が挙げられました。
地方圏でデジタルローカルハブを実現するには、デジタル技術によって、グローバル企業、地域産業、高等教育機関、行政、商工会議所、金融機関、市民の間に“横のつながり”を生み出し、地域ベースで連携することが求められていると説明されました。

また、デジタルの活用が進むほど、対面で交流できる空間や場の重要性が増すとも述べられました。
このようなデジタルと人のつながりを融合させた地域づくりこそが、神尾氏の提唱する「デジタルローカルハブ」の姿です。
そして、地域が前向きに挑戦する姿勢を示すことで、様々な投資を呼び込み、好循環が生まれるとも語られました。

講演の総括として神尾氏は、人口が減少しても、生産性と創造性を高めることは日本全体にとって不可欠であると強調され、東広島市にはその実現に必要な条件がそろっており、今後は東京中心の構造から地域中心の構造へと政策を転換すること、そして挑戦する意欲と前向きな取り組みを地域全体で広げていくことが重要であると訴え、講演を締めくくられました。

感想

今回のシンポジウムを通じて、東広島市が「デジタルローカルハブ」として発展する可能性を強く実感しました。
会場となった東広島芸術文化ホールくららの大ホールは、多くの聴講者で埋め尽くされ、東広島の未来に対する関心と期待の高まりが感じられました。

集合写真

また、「将来住みたいと思えるまち」をテーマに行われた高校生によるプレゼンテーションでは、通学通勤時の危険個所を共有する「動くハザードマップ」など、身近な課題に対するユニークなアイデアが次々と発表されていました。
プレゼンテーションの総評を担当した髙垣市長は「若い世代の意見をもっと政策に反映させたい」と述べられ、市政としても未来志向の取組を進めていく姿勢を示されました。

東広島市民一人ひとりが、地域発展に前向きな姿勢で関わることが、次世代学園都市の実現につながるのではないでしょうか。

参考 (資料・動画等)

シンポジウムの詳細や発表資料は下記リンクから東広島市ホームページをご参照ください。

本シンポジウムの講演等は動画でご視聴いただけます。興味のある方はぜひご覧ください。

※「東広島市次世代学園都市構想」については下記のお知らせ記事をご参照ください。

レポート概要

  • 取材者:広島大学先進理工系科学研究科 宮田 智史
  • 取材日:2025年8月4日
  • 本記事は、シンポジウムにおける講演等の内容を、学生スタッフが取材し、当オフィスにて要約・編集したものです。

お問い合わせ

東広島市・広島大学 Town & Gown Office

  • Mail: tgo hiroshima-u.ac.jp 
  • ※メールアドレスをクリックまたはタップすると開くお問い合わせフォームもご利用いただけます。
  • Tel: 082-424-4457
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