TGOセミナーアーカイブ 第1回・第2部「ハードウェアアクセラレーター HAX Tokyo」

TGOセミナー アーカイブ

第1回・第2部「ハードウェアアクセラレーター HAX Tokyo」

2020年11月19日開催

Town & Gown Office(タウン・アンド・ガウンオフィス)準備室(TGO)では、社会のニーズに応える教育・研究のヒントとなるよう、様々な分野から本学に講師を招きセミナーを開催しています。
2020(令和2)年11月19日(木)に開催された「第1回TGOセミナー」では、総合商社(住友商事株式会社)及び同社が他社と共同で運営するプログラム(HAX Tokyo)から、「『DX』で変わる世の中と住友商事の取り組み」、「ハードウェアアクセラレーター HAX Tokyo」と題して講演いただきました。
本レポートは、後半部分である第2部について記載しています。

第1回TGOセミナーの後半(第2部)では、前半(第1部)に引き続き、住友商事株式会社(以下「住友商事」)の事業の一つとして、「研究シーズやアイデアをビジネスに育てる」組織である「HAX Tokyo」の取り組みについて紹介いただきました。

新事業投資部の村木さんと橋本さんにお話しいただいたのは、住友商事が手掛ける、スタートアップ企業のアクセラレーターである「HAX Tokyo」の取り組みです。 想像もつかない分野との掛け合わせや、スピード感あふれる事業化へのプロセスを具体的に紹介いただき、「ものづくり分野」のセミナーとして工学部で開催したこともあってか、参加いただいた皆さんの目が輝いていたことが印象的です。

また、質疑応答では、今後のプログラムへの期待を表すかように多くの手が上がるなど、予定時間を超える熱気に満ちたセミナーとなりました。 「HAX Tokyo」は11月に第3期の募集を終えたそうですが、どんなスタートアップ企業がプログラムに参加するのか、今からワクワクしますね。

1.「ハードウェアアクセラレーター HAX Tokyo」

「HAX」とは、米国系ベンチャーキャピタル※1のSOSV社が手掛ける、ものづくり系スタートアップ企業を対象とするアクセラレーター※2のプログラムです。 そして「HAX Tokyo」は、住友商事が参加する日本版「HAX」ということになります。

「HAX Tokyo」は、東京、深セン、サンフランシスコに拠点を設けており、プログラムへの参加希望者を定期的に募集しています。

1 ベンチャーキャピタル:新しい技術や独自のアイデアで市場を切り開こうとするベンチャー企業に資金を提供する機関のこと。
2 アクセラレーター:スタートアップ企業のビジネス拡大に焦点を当て、資金投資やノウハウなどのサポートをする組織のこと。

2. プログラム内容

HAXのプログラムは、3つのステップで構成されています。

【ステップ1】 東京 (実施期間90日)

スタートアップ経営の基本を学び、技術シーズとビジネスニーズを引き合わせる場です。ハードウェアに特化したコミュニティが提供され、ビジネスおよび製品開発の分野で世界をリードする専門家からアドバイスを受けることができます。

【ステップ2】 深セン (実施期間120~360日)

プロトタイピング※3と製造を行う場です。「HAX」にて蓄積された知識やノウハウが提供され、効率的に製品の開発を進めることができます。

3 プロトタイピング:試作。開発の初期段階に試作モデルを作り、機能や操作性を確認しながら完成を目指す開発手法のこと。

【ステップ3】サンフランシスコ (実施期間60~90日)

資金調達とマーケティングの場です。製品の販売のためのマーケティングに加え、有望なベンチャーキャピタルからの資金調達の支援や、パートナー企業、メディア等への関係構築の支援を行います。

3.「HAX × MICHELIN (ミシュラン)」

(HAXプログラムの事例紹介) 自動自立走行ロボットを扱うスタートアップ企業のお話です。
この企業は、製品化のターゲットとして、「画像認識機能」や「モノをつかむ技術」を活用できる食器配膳などの分野を意識していました。
しかし、ここでHAXプログラムならではの“掛け合わせる想像力”が発揮されます。それは、タイヤ販売会社のMICHELIN(ミシュラン)との連携です。
MICHELINは中国で高速バス向けのタイヤのメンテナンスサービスを行なっているのですが、人がバスの動かない夜中に点検しなくてはならないという課題を抱えていました。その課題を解決するための方策として、「自動自立走行ロボット」に白羽の矢が立ったのです。
もちろん、タイヤ点検用にロボットを改良する必要がありましたが、ここでHAXの強みが発揮されます。拠点の1つである深センには建物の下に部品市場があり、必要な部品を迅速に調達し、開発を進めることができるのです。 結果、たった2ヶ月でのタイヤ点検ロボットの完成を実現させることができました。
このように、スタートアップ企業に求められる「スピード」を支援できる環境が、「HAX Tokyo」の強みの1つです。

4. 質疑応答(一部抜粋)

Q. あえて社内に設けることにしたという、コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)とスタートアップの関係性は?

A. 大企業とスタートアップ企業ではスピード感が大きく異なるため、CVCを作りました。そうすることで、意思決定を迅速にできるようにしています。

Q. HAX Tokyoに参加する企業をどうやって見つける?

A. アプローチと公募の2つがあります。アプローチの面では独自のデータベースがあり、有望なスタートアップ企業を広くリストアップしています。

Q. 日本の社会には独特といえる“おもてなし”があるが、これは生産性向上の足枷にならないか?

A. 丁寧さやサービス精神は、グローバルな視点で見ると良い点です。そのような視点から、国内のプロジェクトは、早い段階から参加いただくことで逆に世界で戦えるようになると考えています。

Q. 掛け合わせる力は重要であると思うが、そのような力をつけるにはどうすれば良いか?

A. 何事も面白くないとすぐに切り捨てるのではなく、99のダメから1の可能性を探す心づもりが大切です。その上で、様々な可能性を掛け合わせる想像力を常に働かせることが、力を身につけることにつながると私たちは考えています。

TGOセミナー 第1回 開催概要

 

Translate